タイ映画 レビュー(本・映画・ドラマ)

タイ映画「デュー あの時の君とボク」① 作品詳細(ネタバレなし)

2021年7月13日

タイ映画「デュー あの時の君とボク」(2019)は、日本で2021年7月2日に公開がスタートし、現在順次巡回中の作品。タイドラマ「He’s Coming To Me ~ 清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た(とな墓)」主演の俳優オーム(Ohm Pawat)が出演しているタイドラマ 好きにも注目を集めています。

映画は1996年と現代のチェンマイ郊外の村を舞台にした作品。

静かな山々や幻想的なチェンマイ市内の夜景、10代の主人公たちの瑞々しさなど、大画面で観ることを想定して作られた映像はとにかく綺麗。主要キャラ4人とも魅力的。ストーリーも映像も「映画」として丁寧に作り込まれており、一度観たら確実に繰り返し観たくなる作品です。

タイにいる私はNetflix (Thai)で観たのですが、一番最初の感想は「映画館で観るために作られた作品ならではの映像美。」ということでした。映画館で観れる方がうらやましい!あと、素なのか演技なのか、オームがとにかくキラキラしていて魅力的でした。この作品で改めて俳優としてファンになった方も多いはず。

これから映画を観られる方は、ハンカチとティッシュを忘れずに。そして、最低でも2回は観たくなること必須なストーリーなので、お住いの街で公開された際には、できるだけ早めの日程に観に行くことをおすすめします。

初回はできるだけ前知識なしに見て欲しい作品ですが、この記事では観る前に知っておくと良いかもしれない予備知識とネタバレにならない程度の映画基礎情報を紹介します。

Chiangmai_mountain
チェンマイの山

映画「デュー」の概要(ネタバレなし)

タイ語原題:ดิว ไปด้วยกันนะ 
英題:Dew
タイ配給:CJ MAJOR ENTERTAINMENT
日本配給:ハーク
2019年/タイ/123分/カラー

監督・脚本

監督・脚本を手がけるのは、Chukiat Sakveerakul(チューキアット・サックヴィーラクル)。チューレンはマディアオ(Madeaw)。1981年生まれ、チェンマイ県郊外出身の男性。タイの映画好きには有名な監督です。

代表作:
映画「ミウの歌 Love of Siam」(2007年)監督・脚本
ドラマ「Manner Of Death」(2020年)演出

「ミウの歌 Love of Siam」
Chukiat初の監督作「ミウの歌 Love of Siam」は、タイのLGBTQ映画のパイオニアとも言われる作品。バンコクの繁華街サイアムを舞台に、男子高校生の同性への初恋、家族愛、音楽を描いた青春映画。映画公開前にはLGBTQ作品であることに触れずにPRを行い、公開後に物議を醸しました。タイの映画史に残る作品のひとつであり、大ヒット作。海外でも評価が高い。脚本は、監督が20代前半の頃に自ら執筆。

出演者と登場人物

Dew/デュー役

【ニックネーム】Ohm(オーム)
【名前】Pawat Chittsawangdee (パワット・チットサワンディ)
Instagram

代表作
ドラマ「He’s Coming To Me〜清明節、彼は僕のお墓の隣にやってきた(とな墓)」
ドラマ「Blacklist」
ドラマ「The Shipper」

タイ沼にいらっしゃる方はみなさんご存知のオーム(Ohm Pawat)。GMMTV所属の俳優。2000年生まれ、バンコク出身。おそらく「とな墓」の直後に撮影。(IG調べ)

Pop/ポップ役

【ニックネーム】Nont(ノン)
【名前】 Sadanont Durongkaveroj (サダノン・ドゥーロンカウェロー)
Instagram

代表作
ドラマ「Bad Genius」
ドラマ「転校生ナノ2」(Ep1)

2000年生まれ。バンコクでモデルとしても活動しています。

Lew/リュー役

【ニックネーム】Pahn(パーン)
【名前】 Darisa Karnpoj (ダリサ・カーンポ)
Instagram

代表作
ドラマ「The Debut」
映画「Lucky Girl」

91年生まれ。シラパコーン芸術大学を卒業。イラストレーターとしても活躍中。撮影時は27歳頃でしょうか。あの少女独特の生意気さと透明感を出すことができるのは凄いですね。

Phop/ポップ役 (大人)

【ニックネーム】Weir(ウィアー)
【名前】 Sukollawat Kanarot (スコラワット・カナロット)
Instagram

代表作
映画「すれ違いのダイアリー The Teacher’s Diary」
映画「Malila: The Farewell Flower」

タイの人気俳優トップ5に入る俳優。Ch7所属。日本でも劇場公開されたタイ映画「すれ違いのダイアリーズ」では、主人公の彼氏役を演じました。

Orn/オーン役

【ニックネーム】Yarinda (ヤリンダ)
【名前】Yarinda Bunnag (ヤリンダ・ブンナグ)
Instagram

代表作
映画「The Red Eagle」(2010年)
ドラマ「転校生ナノ」(2021年)

2000年代前半に活躍した歌手。現在は建築家として働きながら、俳優業も行っています。

Dewの母役

【ニックネーム】Um(アム)
【名前】Apasiri Nitibhon(アパーシリ・ニティポン)
Instagram

代表作
映画「クーカム」(1996年版)Angsumalin
映画「ハッピー・オールド・イヤー」の主人公の母
ドラマ「Bad Genius」校長
ドラマ「Love By Chance」Peteの母
ドラマ「Love Beyond Frontier」Patの母
ドラマ「WHO ARE YOU?」Peteの母 (優秀な生徒のグループに家庭教師をする母)

元モデルのベテラン女優。タイBLドラマを観ている方には、おなじみですよね。

映画を観る前の予備知識

韓国映画「バンジージャンプする」のリメイク

本映画はイ・ビョンホン主演の韓国映画「バンジージャンプする」(2001年)のリメイク作品。

リメイク作品を撮る企画がチューキアット監督の手に渡ったのち、脚本や設定は監督によって大きく手が加えられました。自身の体験や当時の時代背景も織り交ぜるなど、パーソナルかつタイならではの内容となっています。

映画のタイトルの意味

「デュー あの時の君とボク」の原題は「 ดิว ไปด้วยกันนะ」。日本語に訳すと「デュー、一緒に行こうね」という意味になります。

映画のストーリーと大きく関係しているので、これだけは映画を観る前に覚えておくと良いかも知れません。


以下、作品の内容に触れます。
ネタバレNGの人は、ご注意ください。

あらすじ

本作は、登場人物の関係性や映画のテーマを伝えるだけで、ネタバレになる映画。すでに観る予定のある方は、予告動画を見たり、公式サイトのあらすじも読まない方が、より驚きを持って楽しめるかも知れません。

それでも気になる方に、公式サイトに書かれているあらすじと、予告動画を紹介します。

 <公式サイトからの引用>
あらすじ

1996年のタイ。
同性愛への偏見が色濃い町で、厳格な家庭に育った高校生ポップと、母と二人暮らしの転校生デューは出会った。
二人の友情はほのかな愛情へと成長。
その関係は学校にも家族にも知れ渡り、周囲に理解されず追いつめられていくポップとデュー。
やがて二人は離れ離れに…。
23年後、ポップは母校の教師に着任。
問題児の女子生徒リウを気にかけるたび、なぜかデューとの思い出がデジャブとなって蘇る。
彼女は一体何者なのか?運命に導かれ出会った二人は、衝撃の結末を迎える──。
公式サイトでは、ここまでの内容が明かされています。

「デュー あの時の君とボク」視聴方法

現在、U-NEXT、Amazon、I-Tunesでレンタル中(デジタル)です。また、Wowwowでも放送が決まっています。

詳細はこちらの記事をご覧ください。

韓国版バンジージャンプを観る方法

現在、ストリーミングサービスでは取り扱っていませんが、以下の方法で観ることができます。

・TsutayaなどでDVDをレンタルをする
・中古DVDを購入する (Amazon)

次の記事では、映画の時代検証や考察について書きます。作品を鑑賞後にお読みください。

Links

He’s Coming To Me~清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た Blu-ray BOX
形式:Blu-ray BOX、ディスク枚数:3
付属:ブックレット8P、ポストカードセット

Manner of Death
言語:日本語
単行本:425ページ
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